白血球AI解析システムが専門家並みの精度を実現—好酸球検出では全専門家を凌駕

CNN型の人工知能システムが白血球分類で95.97%の精度を達成し、特に好酸球同定では99.65%の精度で15人の形態学専門家全員を上回る性能を示しました。ただし形態学的に複雑な細胞の分類では改善が必要です。

背景

末梢血液塗沫標本の顕微鏡検査は、感染症、白血病、その他の血液疾患の診断に不可欠な検査です。しかし白血球の形態学的分類は高度な技術を要し、形態学者の経験や主観の影響を受けやすいという課題があります。近年、深層学習に基づく画像認識技術が医療診断を支援するツールとして注目されており、白血球自動分類システムの臨床応用が期待されています。

主な発見

  • 104枚の血液塗沫標本から19,174個の細胞を分析し、AI system(Mindray MC-100i)は95.97%の総合精度を達成。15人の形態学専門家のうち2番目の成績でした
  • 正常な白血球の検出では98.57%と高い精度を示す一方で、異常細胞では91.38%と精度が低下しました
  • 好酸球の同定で99.65%の精度を示し、すべての人間の専門家を上回りました
  • 異常骨髄球や異常前骨髄球の検出で94.65%の精度を示し、急性前骨髄球性白血病(APL)の早期発見に有用です
  • AIは曖昧な細胞を発達段階の早い時期に分類する傾向(例:前骨髄球を骨髄球として分類)を示し、この点で人間の形態学者とは異なるアプローチをとっていました
  • AIは単一細胞の特徴に基づいて判定する傾向があり、人間の専門家が塗沫標本全体の文脈情報を活用するのとは異なります

臨床的意義

本研究の結果は、AI形態学解析システムが末梢血液検査の日常的なスクリーニングツールとして臨床的な有用性を持つことを示しています。特に、AIが異常細胞を積極的に識別する特性は、APLのような時間が重要な疾患の早期発見において大きなメリットとなります。AIが過剰に異常と判定するリスクよりも、見逃しを防ぐことが臨床的に重要な場面では、AIシステムが補完的なツールとして活躍できる可能性があります。ただし形態学的に複雑な細胞分類の精度向上が、臨床への本格導入の鍵となります。

限界

本研究はAIシステムの強みを示す一方で、いくつかの課題も明らかにしました。特に形態学的に複雑な細胞—例えば幼弱顆粒球や非定型的なリンパ球、芽球細胞—の分類精度は、人間の専門家と比べて不安定です。AIが利用する特徴抽出メカニズムが、人間の専門家が無意識に活用する文脈情報や全体的なパターン認識を十分に再現できていない可能性があります。また、血液検査の質や塗沫の条件など、実臨床での多様な環境への対応性については、さらなる検証が必要です。

Original paper: Evaluating AI in leukocyte classification: performance of the AI system against 15 morphology experts. — NPJ digital medicine. 10.1038/s41746-026-02601-w